ULA Equipment|ULバックパックとしての思想とその歩み
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UL黎明期とされる2001年に誕生したULA Equipment(ULA)は、今年2026年で25周年を迎えます。今ではULバックパックメーカーを代表する老舗ブランドのひとつですが、ULA も他の個人ブランドと同様に、ガレージで産声をあげたブランドです。
それから20年以上にわたり、ロングトレイルを楽しむハイカーたちのためにバックパックと向き合い続けてきたメーカーですが、日本ではブランドの思想やプロダクトの系譜について語られることは多くなく、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、25周年という節目を迎えるULAについて、創業期から現在に至るまでの歩みを振り返りながら、製品づくりやブランドの姿勢に込められたこだわりを整理していきます。
すでにULAをご存じの方はもちろん、製品を通じて興味を持っていただいた方にも参考になる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
市販のバックパックとウルトラライトのギャップを埋めるために誕生した
今では大きな工場に多くのスタッフを抱える ULAも、他のULメーカーと同様にガレージからその活動をスタートしました。
2001年、ULAの創業者である Brian Frankle(Brian)は、自身の求めるバックパックが市場に存在しなかったことをきっかけにULAを立ち上げます。その構想はトレイルでの実体験から生まれたもので、「市販のバックパックは重すぎる。一方でULパックはミニマルすぎて快適性が損なわれている」というギャップを埋めることが出発点でした。
ULA といえば軽量なフレーム入りモデルのイメージが強いですが、最初に開発された初代モデル「P1」はフレームレスでした。
しかしP1は納得のいく完成度には至らず、その後2代目となる「P2」へと繋がっていきます。P2では軽量な金属ステーを背面に配置し、荷重を肩から腰へと分散する構造を採用することで「軽さ」と「快適性」を両立するというビジョンが初めて形になります。
P2はその後「Catalyst」へと発展し、ロングトレイルにおいてULAが広く認知されるきっかけとなりました。さらにこのモデルを基盤として、それぞれの用途に最適化されたラインナップへと展開していきます。
それは同時に、現在に至るULAの開発思想である「ウルトラライトとしての軽さを担保しつつ、長距離でも快適に背負えるバックパック」という原型が確立された瞬間でもありました。
現在のULAモデルは、P2の設計思想をベースに、用途ごとに最適化されたものといっても過言ではありません。ハイカーたちのフィードバックによって改良を重ねながら進化を続け、今なおロングトレイルで高い支持を集めています。
受け継がれるガレージブランドの精神
ガレージブランドはオーナーであり、デザイナーであり、生産者というケースは珍しくありません。P2 や Catalyst の成功で多くの注文を受けるようにはなりましたが、ULAもまた例外ではありませんでした。
受注量の多さから、電話対応は週3日だけでしたが、電話をかけると生産者本人が出て相談にのっていたようです。実際にミシンを踏みながら電話機を身につけて作業をしている写真も残されており、こういった製作者とユーザーとの距離感がガレージブランドらしさと言えるでしょう。
こうしたユーザーとブランドの近い距離感は、20年近く経った現在でも変わることはありません。製品購入のプロセスにおいて、多くの製品で気軽にカスタムが可能であり、難しいカスタムの問い合わせにも現オーナーであるピーターが快く相談にのってくれます。
そして多くの大手メーカーがデザインや生産を外注に頼る一方で、バックパックを選ぶ際に、ショルダーストラップの形状、ヒップベルト、トルソーサイズまで選べるのは、いまも自社工場で受注生産を続けているULAならではの特徴です。こうした細かなフィット調整の選択肢にも、ULAが快適な背負い心地を重視していることが表れています。
また、Brian の時代の ULA は秋になると工房を閉めていたと言われています。それは数週間から数ヶ月にわたるもので、その間はトレイルへ旅に出ていたのだといいます。トレイルでは多くのアイデアが生まれ、実際に長距離を歩くユーザーの意見を開発に生かす大切な場でもありました。
現在のULA製品が、小さなパーツの一つに至るまでアップデートを重ねている背景には、こうしたユーザーと向き合う姿勢があります。それこそが、ガレージブランドの精神を大切にし続けている証と言えるでしょう。

ガレージブランド時代は、まさに自宅裏のガレージを改装した工房で製造していた。創業当初は一人で縫製していたため、注文してから届くまで数週間〜数か月待つのも普通だった。
「実用性」への飽くなきこだわり
創業から現在に至るまで、ULAが一貫して重視してきたのはバックパックの「実用性」です。
ULAが目指しているのは、革新的な製品そのものではなく、より実用性に優れた製品です。それは単に軽くすることが目的ではなく、ロングトレイルを快適に歩き続けるために必要な要素である「軽さ・背負い心地・耐久性」のバランスを、いかに高い次元で実現するかが出発点にありました。
「革新はあくまでも実用性のひとつ」というBrianが述べた言葉からもわかるように、スペックや新素材といった “マーケティング要素” に偏ることなく、製品とユーザーの声に向き合いながら、実用性の向上にフォーカスし続けてきました。
それは決して保守的という意味ではなく、実用性を高められるのであれば、Ultraのような新素材も積極的に取り入れてきたということでもあります。そして、その「実用性」に新たな展開をもたらしたのが、カーボンフープフレームを採用した新しいフレーム構造でした。
Catalystの成功によってULAの実用性の幅は大きく広がりましたが、一方で約1.3kgという重量は、一般的なバックパックと比較すれば軽量であるものの、ウルトラライトの基準では決して軽いとは言えませんでした。
そこで、従来の金属ステーに加えてカーボン製フレームを組み合わせることで、用途やスタイルに応じた実用性の選択肢をさらに広げていきます。こうした積み重ねは、ロングトレイルを歩くハイカーたちからの信頼へと繋がっていきました。その結果として、PCTにおいて「最も使われたバックパック」として、複数年にわたり上位に選ばれ続けています。
そして、その象徴とも言える存在がCircuitです。
一般的なバックパックのフレームと聞くと重いイメージがあるが、Circuit のフレームはフープとステーの組み合わせでも、わずか 80g程度という軽さで快適な背負い心地を実現している。(画像はCircuit SV)
ロングハイク向けの、重さが消えるような背負い心地
ULA製品がロングトレイルを歩くハイカーたちに支持される理由が、まさにこの言葉にあります。これはULAのマーケティングコピーではなく、実際にロングハイクで使用したユーザーたちの口コミから広がった表現です。これほどの高い評価を受ける要因となったのが、現在のULAを代表するモデルである「Circuit」の存在です。
「Circuit」は、Catalystの金属製ステー2本からなるフレーム構造を1本に減らし、剛性を補うためにカーボンフープフレームを加えたハイブリッド型の構造を採用しています。カーボンを採用することで最大積載量は18kgから16kgへと下がったものの、約200gの軽量化を実現しました。
しかし、それ以上に大きな恩恵となったのが、その優れた「背負い心地」です。
金属ステーによって必要な剛性を確保しつつ、弾力性のあるカーボンフレームが身体の動きに合わせて自然に追従する。この独特の背負い心地が、多くのハイカーたちから高い支持を集めることになります。
さらに、ULAのヒップベルトや身体に引き寄せるようなハーネス構造と組み合わさることで、荷重分散システム全体としての完成度が高まりました。それを表す言葉として、「ロングハイク向けの、重さが消えるような背負い心地」という評価が定着していきます。
また、Circuitは68Lの容量を備えており、装備量や行動日数、季節を大きく限定することなく使える高い汎用性も大きな魅力です。ロングトレイルで求められる積載力と背負い心地のバランスに優れているため、幅広いハイカーにとって扱いやすいモデルとなっています。
実際、PCTにおいてもCircuitは「最も使用されたバックパック」として、6年連続でランキング1位に選ばれています。単なるスペック上の評価ではなく、長い距離を歩くハイカーたちの実使用に裏付けられた支持が、このモデルの完成度を物語っています。

ショルダーストラップをバックパックのボトム前面に取り付け、揺れを抑える構造も、荷重バランスを重視するULAらしい特徴。ヒップベルトやフレームなどと組み合わせることで荷重を分散し、荷揺れを軽減させるシステムが、多くのユーザーから支持される所以だ。
25th Anniversary Green Ultra 400X Circuit
そして2026年、25周年という節目にあわせて、ULAの記念モデルのベースとして採用されたのが、この「Circuit」です。
記念モデルでは、ULAを象徴する素材である新色のULTRA™️400X Hunter Greenを採用。フロントには、ULAクラシックスタイルのオープンメッシュポケットを備えています。グレーのアクセントが入ったショックコードタブも備え、過去への敬意と、現在の製品への誇りを感じさせるディテールに仕上がっています。
Circuitについてさらに詳しく知りたい方は、派生モデルであるCircuit SVを解説した記事も参考にしてみてください。
👉 Circuit SV レビュー|ULAの新定番フレームパックの魅力を徹底解説

容量:合計 約68L
本体:47.5L(エクステンションカラー 8.2L含む)
フロントメッシュポケット:6.6L
サイドポケット:各6.6L
ヒップベルトポケット:各1.5L
最大積載量:約16kg
重量:1,091g
以上、いかがでしたでしょうか。
ULAと同じくULの老舗と呼ばれるメーカーの多くが、生産やデザインを外部に委託するようになる中で、ULAは25年を経た今でもアメリカ製にこだわり続けています。
企画から生産、配送に至るまでのフローをインハウスで行い、地元の雇用を守りながら、ユーザーとの近い距離感を大切にし続けている数少ないメーカーです。
スペックや見た目だけでは感じ取れない、ガレージブランドらしさ。
ぜひ皆さんも、ULAの製品を通してご体感ください。
👉 ULA Equipment|ULハイカーに選ばれる4つの理由