ULA Equipment Packrat レビュー|UL的 “余白” を宿す通好みの名作デイパック
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皆さんは、バックパックのカテゴリのひとつである「EDC」をご存知でしょうか?
EDCとは Every Day Carry の略で、その名の通り「毎日持ち歩くこと」を前提に設計されたバックパックのことを指します。通勤・通学・出張・街歩きなど、日常の延長線上にある移動を快適にするためのバッグ。それがEDCです。
アメリカ・ユタ州のバックパックメーカー ULA Equipment(ULA) からも、このカテゴリにぴったり当てはまる「Packrat(パックラット)」というモデルがリリースされています。
本国では、ロングハイク用モデルとは少し立ち位置の違う“通好み”の存在として知られていますが、日本ではまだ情報が少なく、その魅力を十分に理解している方は多くないかもしれません。
そこで今回は、Packratの特徴や設計思想を、ULAオーナーのインタビューや海外レビューの情報をもとに整理しながら、分かりやすく解説していきます。購入を検討している方はもちろん、軽量でULライクなデイパックを探している方にも役立つ内容です。
ぜひ最後までご覧ください。
Packratは、ULAらしい設計思想が息づく “ULマインドを刺激する” オールウェイズパック
Packratを一言で表すなら、まさにこの表現に尽きます。
ちなみに「オールウェイズパック」という言葉は一般的な用語ではありません。Packratを表現するにあたり、“デイパック”という言葉よりも「常に一緒にいる存在」という意味を込めて、私自身が名づけた言葉です。
そして、この言葉を説明するうえで重要なのが「ULAらしい設計思想」という部分です。ULAらしさについては他の記事で詳しく解説していますが、ここでは簡単に触れておきます。それは、「ウルトラライトでありながら、素材や重量といったスペックで優位性を誇示する製品づくりではない」ということです。
ULAのバックパック全体に共通する特徴や設計思想については、別の記事でより詳しく解説しています。ブランド全体を俯瞰して理解したい方は、あわせてご覧ください。
👉 ULA Equipment が ULハイカーに選ばれる4つの理由 を読む
ULAの製品は最軽量や新素材といった派手な数値を並べるのではなく、マーケティングよりも「使って初めてわかる圧倒的な背負い心地と快適さ」を重視してきました。その結果、多くのハイカーが「ロングハイク向けの、重さが消えるような背負い心地」と表現するほどの評価を獲得しています。
Packratもまた、その思想が色濃く反映されたバックパックです。スペックとして特別に目立つ数値があるわけではありません。しかし、ULAらしい快適さや丈夫さに加え、UL的な“余白”が随所に盛り込まれています。使い手が工夫し、その過程を楽しむことができる設計。それこそが、Packratが“ULマインドを刺激するパック” だと例えた理由なんです。
次のセクションでは、Packratの詳しい特徴を見ながら、この余白やULAらしさについても解説していきます。

Packratの魅力も他のULA製品同様に、重量や素材といったスペックだけでは語れない。ブランドやULの思想に触れてきた人ほど、その魅力を深く理解できる、いわばマニア向けの製品ともいえる。
Packratの特徴
小さな体に大きな包容力
Packratを象徴する最も特徴的なディテールは、この可変性にあるといえるでしょう。スペック上の容量は25L(約25.5L)です。数値だけを見ると、やや大きめのデイパックという印象を受けるかもしれません。
しかし、荷物が少ない日常使いでは17L程度のバックパックのように扱えるコンパクトなサイズ感に収まります。一方で、荷物が増えた際には、長めに設計されたトップカラーと、前面および側面に配置されたUltraStretch素材のポケットが拡張性を発揮し、小旅行やミニマルな一泊程度の山行にも対応できる懐の深さを持っています。
一般的なデイリーユース向けバックパックでは、25Lという容量はやや大きく感じられることが多いでしょう。しかしPackratの可変スタイルは、単なる容量拡張のための仕組みではありません。
最も使用頻度の高い日常使いに重心を置きながら、必要なときには自然に拡張できる、日常を基準に設計された必要最小限のサイズ感です。常に大きいバッグを持つのではなく、普段はコンパクトに、必要なときだけ余裕を持たせる。そうすることで、荷物が少ないときでもパックの形状をしっかり保ち、中の荷物の揺れによる背負いづらさを軽減します。
最も使用頻度の高い日常使いに重心を置きながら、必要なときには自然に拡張できる、日常を基準に設計された必要最小限のサイズ感です。常に大きいバッグを持つのではなく、普段はコンパクトに、必要なときだけ余裕を持たせる。そうすることで、荷物が少ないときでもパックの形状をしっかり保ち、中の荷物の揺れによる背負いづらさを軽減します。
その思想こそが、Packratの可変構造の本質であり、ユーザー視点に立ったミニマリズム的な、ULAらしいアプローチといえるでしょう。
このカラーによる拡張構造を採用することで、Packratは25Lクラスでありながら約400〜460g(素材により変動)という、ウルトラライトとして申し分のない軽さを実現しています。
一方で、トップカラー部分は防水に長けた素材ではありません。そのため、必要に応じて防水性を高める工夫が求められます。しかしこの工夫こそが、ULマインドを刺激するUL的余白のひとつでもあります。

長めに設定されたトップのカラーは、巾着バッグのように扱い積載量を調整できる。荷量が増えた際には、ハイキングパックのようにトップのウェビングストラップを使い、パック上部に荷物を取り付ける感覚で使用できる独特の仕様が特徴である。
ULAらしい背負心地
Packratは20L以下のクラスと同等のサイズ感でありながら、ULAのハイキングパックと同等のショルダーストラップを備えており、最大積載量もフレームレスパックと同等の性能を持っています。ヒップベルトはありませんが、必要に応じてオプションで追加することも可能です。
20L程度のクラスのパックを実際に使用する場面では、この仕様はオーバースペックに感じられることもあるでしょう。しかし、このパックで1泊のハイクに出かける場合や、ある程度の重量を長時間にわたって運ぶ場面では、その恩恵を十分に受けることができます。
このショルダーストラップを備えながらも約400〜460gという重量を実現している点は、軽さだけでなく背負い心地にもこだわる、ULAらしい配慮といえるでしょう。

ハイキングパックに採用されているS字型のショルダーストラップを採用している。適度なクッション性があり、体に自然に馴染むのが特徴で、チェストストラップと組み合わせることで荷重を分散させることができる。背面には剛性を高めるためのパッドパネルを配置し、快適性を高め、PCを収納した際に最低限ではあるがクッションの役割も果たす。

パック上部に取り付けられたハンドル(Padded Haul Loop)も、フォーム入りのしっかりとした仕様を採用しています。このクラスのサイズのパックであれば簡易的なハンドルでも十分ですが、重い荷物を運ぶ際には持ちやすく、手への負担を軽減してくれます。簡易的な仕様の場合、長期使用による劣化で切れてしまうこともあるため、こうした部分にも快適性と耐久性を追求するULAらしい配慮がうかがえます。
使い手に委ねる潔さ
機能的な部分ではありませんが、これこそがPackratのキャラクターを色付けている最も魅力的な要素といえるでしょう。一見すると非常にシンプルなULらしい構造ですが、タイトルでも触れているように、使い手の工夫する余地を残した「UL的余白」に溢れたバックパックでもあります。
例えば防水性について。本体に使用されている素材は高い耐水性を誇ります(素材によって性能は異なります)。しかしトップの開閉部はロールトップのような防水構造ではなく、フラップもジッパーもありません。上部に取り付けられたウェビングストラップで留めるのみという、非常に潔い仕様です。このままでは水が入りやすいため、シルナイロン素材のカラーをドローコードで巾着のように閉じるという独自の構造を採用しています。この仕様により、荷物の出し入れはトートバッグのように快適に行えます。
荷物を絶対に濡らしたくない場合は、パックカバーやパックライナー、防水性の高いスタッフサックなどを併用する必要があります。しかし、この割り切りこそが軽量化の恩恵を最大限に引き出し、同時にULらしい余白にもつながっています。
また、トップのウェビングストラップはハイキングパックと同様に使用することができ、ジャケットやテント、シェルター、クライミングロープなどを固定できます。荷物が少ないときには、この部分を肩に掛けてトートバッグのように使うことも可能です。シチュエーションや使い手の想像力次第でさまざまな使い方ができる点こそが、筆者が考えるPackratの最も大きな魅力といえるでしょう。

バックパックというよりはバケットパックに近い構造で、トップのウェビングストラップを使えば、トートバッグのようにも使うことができる。

内部のラップトップスリーブは15インチまでのPCを収納でき、ハイキングなどのアクティビティでは3L程度までのハイドレーションリザーバーを入れて使用することも可能だ。
素材による特徴の違い
TARCITでは、Packratの使用用途やお使いになる方のスタイルに合わせて、3つの素材から選べるようにしています。
400 ROBIC ナイロン:465g
ULA の定番として長く採用されてきた信頼性の高い素材。格子状のリップストップ構造によって引き裂き強度と耐摩耗性に優れ、DWR 加工と3層 PUコーティングによりしっかりした耐水性能も備えています。カジュアルなファッションにも合わせやすい、UL黎明期を彷彿とさせるクラシックな質感が魅力です。
👉「ULA Equipment Robic Packrat 」商品ページへ

X-Pac VX21モデル:440g
しっかりとしたハリのある手触りと、型崩れしにくい高い安定感が特徴です。荷物を入れていない状態でも自立しやすく、裏地が明るいため内部の視認性に優れ、整理がしやすいのも魅力です。街使いやトラベル用途にも相性の良い素材です。
👉「ULA Equipment X-Pac Packrat」商品ページへ

Ultra 200X:400g
軽量でありながら、耐摩耗性・引裂強度・防水性に優れた次世代素材。他の素材に比べて最大約60g程度軽量に仕上がっており、軽さとタフさを両立。ウルトラライトカテゴリーに属しながらも、快適さ・丈夫さにこだわったULAの開発思想が最も体現できるモデルとも言えるでしょう。
👉「ULA Equipment Ultra Packrat」商品ページへ

容量:約25.5L
本体:17L
カラー:4.68L
ポケット:フロント 2L / サイド 1L
最大積載量:11.4 kg
以上いかがでしたでしょうか。
Packrat は本国USでは“バケツ”という愛称でも親しまれている、非常に特徴的で愛嬌のあるバックパックです。
最新素材や最軽量、非常に高い防水性といった、メーカーから与えられた “完成された機能” に頼る選択ももちろん魅力的です。しかし、毎日使うデイパックだからこそ、使い方の余白を見つけて自分なりに工夫する。そうしたULの原点に触れる楽しみ方こそがギアへの愛着を育み、単なる軽量ギアではない「相棒」と呼べる存在へと変わっていくのだと思います。まさに「常に一緒にいる存在」としてのオールウェイズパックです。
“pack rat”という言葉にはスラングで「物を溜め込む人」「何でも持ち歩く人」といった意味もあります。これはULやミニマリズムとは一見正反対の意味にも思えますが、つい色々と入れてみたくなるような構造や可変性を備えている点を考えると、この逆説的なネーミングもまたULAらしいユーモアのひとつといえるでしょう。
ぜひ、そんな Packrat の世界を体験してみてください。
また、もう少し容量に余裕のあるモデルや、トラベル用途を軸にしたバックパックをお探しの方には、Dragonfly という軽量トラベルパックもあります。用途や容量の違いを比較しながら検討してみてください。