UL ファニーパック 3社比較レビュー|ULA・Zpacks・High Tail Designs(Made in USA)
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近年、アウトドアギアの軽量化は、一部のULハイカーだけが追求する特別な考え方ではなくなってきました。「同じ役割なら、少しでも軽いものを選びたい」という感覚が広がり、ULに特化していないメディアでも、その文化やギアを目にする機会が増えています。
その代表のひとつとも言えるのが、「ファニーパック」ではないでしょうか。
日本では、「ファニーパック」という言葉の本来の意味を正しく理解している方は、まだそれほど多くないように思います。
そこで本記事では、その言葉の意味や製品の特徴を解説した上で、「ファニーパックを選ぶなら、どうせなら本場アメリカ製を選びたい」という方に向けて、TARCITで取り扱っている3つのブランドを比較します。
今回紹介するモデルはいずれも、DCFやUltraなどのハイエンドなUL素材を使用し、軽量でありながら防水性にも優れているのが共通する特徴です。
本記事では、ULA Equipment・Zpacks・High Tail Designs の3ブランドを取り上げ、それぞれの特徴や軽さ、使い勝手などの違いを比較していきます。
すでに購入を検討している方はもちろん、「最近ファニーパックが気になってきた」という方にも参考になれば嬉しいです。
「それぞれのアイテムの特徴だけ知りたい」という方は、下のテーブルリンクから総評や各ブランドの解説へ直接お進みください。
「ファニーパック」という名称が、日本ではほとんど知られていなかった背景

アメリカでファニーパックと言うと、フロントの腰部分に装着する、比較的小さなウエストパックのことを指します。日本では「ウエストバッグ」として一般的に親しまれている言葉と同様の意味ですが、アメリカでは一般的に広く親しまれている言葉なんです。
しかし、日本でこれまで「ファニーパック」という言葉があまり知られていなかった理由は、英語圏における文化の違いにあります。
この「Fanny」という言葉は、アメリカではお尻を少しユーモラスに表現する言葉で、ウエストバッグの「waist」は、ゴミを意味する「waste」と同じ発音になるため、アメリカでは「Fanny Pack」という呼び方が一般的によく使われます。
一方、同じ英語圏でも、イギリスでは「Fanny」は性的で下品な意味を持つスラングです。そのため、ヨーロッパを中心とするメーカーや、世界中で展開する大手メーカーなどは、同じようにお尻をユーモラスに表す「Bum」を使うなどし、この名称をあまり使用してきませんでした。
そのため、これまで日本では「ファニーパック」という名称が周知されず、ULハイキングスタイルの台頭によってアメリカのガレージメーカーが日本にも多く入ってくるようになり、UL文化の広がりとともに周知されてきた言葉だと筆者は考えます。
次のセクションでは、当店で扱っている3つのブランドについて、それぞれの特徴と各アイテムの違いを見ていきましょう。
High Tail Designs
フィラデルフィアを拠点とするULギアブランド。DCFなどのUL素材に、繊細で発色の美しいプリントを施したギアが特徴です。日本で「ファニーパック」という言葉の認知を大きく広げたブランドのひとつと言っても過言ではないでしょう。
High Tail Designs(HTD)のファニーパックの魅力は、何と言ってもその「軽さ」と「鮮やかさ」です。おそらく、この2点においては他のブランドにはない、唯一無二の特徴と言ってもよいでしょう。

世界最軽量クラスの軽さ
他のブランドと比較して、最も優位な点は「軽さ」です。タイトルではあえて控えめに「最軽量クラス」としていますが、世界一軽いと言っても過言ではありません。とにかく軽い。
容量の違いはありますが、一般的にULの文脈で語られることの多いブランドと比較しても、最も軽いのがHTDの製品です。
| 容量 | 重量 | 素材 | |
| High Tail Designs | 1L | 51g | DCF |
| Chicken Tramper | 1L | 130g | X-Pac |
| HMG Vice Versa | 1.3L | 77g | DCF |
| LiteAF Feather Weight | 1.5L | 65g | DCF |
| Gossamer Gear Bumster | 1.5L | 88g | Robic Nylon |
| Zpacks FUPA | 1.7L | 77g | Ultra |
| High Tail Designs v1.5 | 2.0L | 60g | DCF |
| ULA Spare Tire(Ultra) | 2.0L | 113g | Ultra |
| Zpacks Multi Pack | 3.5L | 85g |
Ultra |
| Hilltop Packs Roll-Top w/Belt | 2-4L | 100g | DCF |
すべてのメーカーの製品を比較しているわけではありませんが、「軽さ」で選ぶのであれば、HTDを選んでおけば間違いないことは一目瞭然でしょう。
この圧倒的な軽さを実現しているのが、必要最低限に絞ったシンプルな構造です。用途を割り切って使えるこの潔さも、人気の理由のひとつと言えるでしょう。
1Lモデルが最も軽量ですが、2Lモデルでは容量が2倍になっているにもかかわらず、重量の増加はわずか10g程度。容量と重量のバランスという点でも、HTDの軽さは際立っています。

繊細で発色の美しいオリジナリティのあるプリント
HTDのもうひとつの大きな魅力が、美しいプリントと、その独創性です。
DCFはULギアを象徴するハイエンド素材のひとつですが、色がくすみがちで鮮やかな発色や繊細な色調を表現するのは簡単ではありません。
HTDのプリントは、はっきりとした色の美しさはもちろん、水彩画のような微妙なグラデーションや色の変化まで丁寧に再現しているのが特徴です。

アーティスト コレクション シリーズ
芸術とハイクカルチャーは別の文化ではあるけれど、自然という恩恵を受けながら、互いにどこかで繋がっている。
そんな思いを感じさせてくれるのが、HTDの独創性の象徴とも言える「アーティスト・コレクション・シリーズ」です。単に柄を持ち歩くのではなく、その背景にあるカルチャーや世界観まで持ち歩く。HTDのプリントの魅力を、最も感じることのできるシリーズです。

High Tail Designs × Ash Ryan(1L / 2L)
👉 High Tail Designs × Ash Ryan についてもっと詳しく見る

High Tail Designs × Hannah Beimborn(1L)
👉 High Tail Designs × Hannah Beimborn についてもっと詳しく見る

High Tail Designs × Andrew Marshall(2L)
👉 High Tail Designs × Andrew Marshall についてもっと詳しく見る
ULA Equipment
ユタ州発の老舗ULパックメーカー。ULとしての軽さを保ちながら、快適さと堅牢さをバランスよく備えたものづくりが特徴です。ULAが作るファニーパックは、軽さを意識しつつも、使い勝手とタフさを重視した構成となっています。

「使い勝手」に振り切った、タフなULファニーパック
ULAのファニーパック「Spare Tire」は、バックパックのフロントポケットなどに使われる、伸縮性・復元性・耐久性に優れたウルトラ ストレッチ メッシュを背面と内部ポケットに採用しているのが大きな特徴です。
一般的な薄手のメッシュに比べて重量は増しますが、収納に高い拡張性をもたらします。
リアメッシュポケット
背面は一般的に非伸縮のポケットが多いと思いますが、ストレッチメッシュにすることで、スマホや充電器、コンパクトなウィンドシェルなどを収納できます。収納するものによっては、クッション性を高めることもできます。

インナーメッシュポケット
内部ポケットでは、ストレッチメッシュの伸縮性と復元性の高さによって、嵩張る大きめのものを収納したいときにも柔軟に対応できます。メインコンパートメントを2つの区画に分けるような役割もあり、収納するものに合わせて使い分けることができます。

確実な操作性と、左右どちらからでも使いやすい設計
メインコンパートメントはダブルジップで開閉できるため、例えば充電コードを出してスマホを充電しながら歩きたいときにも、左右どちらからでもケーブルを逃がせます。また、開閉時にはしっかりと掴めるループタブによって、確実な操作が可能です。

最も強靭なファニーパックのひとつ
Spare Tireのウルトラモデルでは、メイン素材にUltra 200Xを使用しています。200Xは100Xに比べて約1.5倍の引裂強度を持ち、耐摩耗性にも優れています。
もちろん、その分重量は増しますが、一般的にはバックパックに使われる素材を、あえてファニーパックにも使用している点は、ULAのタフさに対するこだわりでしょう。
HTDのセクションでご紹介した各社の重量比較を見て、「ULAのファニーパックは重い」と感じた方も多いと思いますが、軽さを少し犠牲にして、「使い勝手」と「タフさ」に比重を置いた設計です。
参考までに、ウクライナ発のULメーカーLITEWAYからも、同じUltra 200を使用したファニーパックが販売されており、重量は120gです。容量は公式には記載されていませんが、サイズを比較すると近い大きさであることを考えれば、ULAの113gという重量も決して重いわけではないことが分かるでしょう。

Spare Tire
圧倒的な軽さだけを追い求めるのではなく、実際のハイカーたちの体験をもとに、使いやすさまで丁寧に作り込む。そんなULAの開発思想を、最も小さな形で体感できるギアです。
👉 ULA Equipment Spare Tire - 商品ページへ
Zpacks
ULハイクシーンを牽引する大手ULメーカー。徹底して軽さにこだわったテントやバックパックを中心に、キルトやアパレルなど、ラインナップの豊富さも魅力です。

「多用途性の高さ」に振り切った唯一無二のファニーパック
Zpacksというと、圧倒的な軽さを追求するアイテムが目立ちますが、実は軽さよりも多用途性の高さにこだわったアイテムも特徴の一つです。
ファニーパックがまさにそれで、シチュエーションに合わせてショルダーパックやバックパックの拡張ポケット、チェストパックなどとしても使える、ギミックの効いた製品。
容量も1.7Lと3.5Lという特徴的なサイズ展開で、他社とは一線を画すファニーパックです。
Front Utility Pack Accessory(FUPA)
付属のバックルとストラップを使うことで、バックパックの拡張ポケットやショルダーバッグとして3WAYで使える、Zpacksらしいマルチユースなアイテムです。
ファニーパックとしては比較的大きめな1.7Lの容量。背面にはパッドを備え、長時間でも快適な装着感を実現しています。

ファニーパックモード
付属のストラップを本体側に縫い付けられたバックルへ取り付けることで、ウエストベルトとして使用できます。ヒップベルトを調整するように、装着したまま簡単にフィット感を調整できるのが特徴です。

拡張ポケットモード
バックパックのヒップベルトと本体側のバックルを接続することで、ウエスト部分の拡張ポケットとして使用できます。ミラーレス一眼など比較的重量のあるものを収納する場合や、行動中により高い保持力が必要な場合におすすめの取り付け方法です。

ショルダーバッグモード
付属のストラップを本体に取り付けた状態で、長さを伸ばすことでショルダーバッグとして使用できます。ストラップは最大127cmまで調整可能。

👉 Zpacks Front Utility Pack Accessory - 商品ページへ
Multi-Pack
背面に取り付けられた6箇所のアタッチメントを活用して、チェストパック、ファニーパック、ショルダーバッグ、バックパックの追加コンパートメントとして、状況に応じた使い方ができる万能ポーチです。



一眼ミラーレスカメラも収納できる3.5Lの容量
マルチパックの汎用性の高さを象徴するディテールが、3.5Lという大きなメインコンパートメントの容量です。特に一眼ミラーレスカメラをお使いの方とは相性が良く、比較的小型の標準ズームレンズであれば、取り付けた状態で収納可能。チェストに取り付ければ、カメラバッグのように使うことができる優れものです。

ULファニーパック|こんな人におすすめ
今回ご紹介した3種類のファニーパックは、それぞれ異なる部分に強く特徴を持った、個性のはっきりした製品です。そのため、単純にどれが優れているというよりも、ファニーパックに求める機能や使用目的によって、評価は大きく変わります。
ここでは、それぞれの特徴を踏まえながら、どのような方に向いているのかを簡単にまとめていきます。
軽さを重視したい方|High Tail Designs
1Lモデルは、スマホやマップ、行動食など必要最低限のものをシンプルに持ち歩きたい方に。2Lモデルは、バーナー類やウィンドシェルなど、フロント側にもギアの収納スペースを確保したい方におすすめです。
容量が倍になっても重量は10g程度しか増えないため、重量の増加をほとんど気にすることなく、使用目的に応じて容量を選んでいただけます。
使いやすさを重視したい方|ULA Equipment
重量はULの範囲内であれば十分。それよりも、ファニーパックとしての「使いやすさ」を重視したい方や、藪漕ぎなどで枝や岩に擦れる場面でも破れを気にせず、とにかくタフに使いたい方におすすめです。
汎用性を重視したい方|Zpacks
ファニーパックとしてだけでなく、撮影に比重を置く旅ではチェストに取り付けてカメラパックとして使うなど、シチュエーションや用途に合わせて、さまざまな使い方をしたい方におすすめです。
以上、Made in USAのULファニーパック3社の比較レビューでした。
今回の記事を通じて、TARCITがどのような視点でそれぞれのアイテムをセレクトしているのか、少しでも感じていただけたのではないかと思います。
どのアイテムもそれぞれに個性があり、とても良いギアだと思います。ぜひ、ご自身のスタイルや用途、ご予算に合わせて最適なひとつを見つけてみてください。