Enlightened Equipment Torrid Jacket|軽くて暖かく、天候の変化にも柔軟に対応できるインサレーションジャケット

Enlightened Equipment Torrid Jacket レビュー|ULハイカーに支持される理由を徹底解説

これまで登山装備における防寒着といえば、軽さや携行性、そして高い保温力を重視する登山者にとって、ダウンジャケットがほぼ唯一の選択肢でした。

しかし、ハイクスタイルの多様化とテクノロジーの進化によって、防寒着に求められる役割も変化してきました。その流れの中で、これまで敬遠されがちだった化繊ジャケットが、あらためて見直されるようになっています。

なかでも、UL志向のハイカーの間で“化繊インサレーションジャケットの代名詞”的な存在となっているのが、Enlightened Equipment(EE)の Torrid Jacket です。本国アメリカでは絶大な人気を誇るジャケットですが、日本では詳しい情報はまだ限られており、「軽くて暖かい化繊ジャケット」という漠然としたイメージで理解されている方も少なくないと思います。

本記事では、そんな Torrid Jacket について、化繊ジャケットならではの優位性や製品としての特徴を、海外レビューの情報をふまえて解説していきます。購入を検討している方はもちろん、軽量な化繊ジャケットを探している方にとっても判断材料となる内容ですので、ぜひ最後までご覧ください。

化繊ジャケットの優位性

ダウンは非常に軽量で高い保温力を持ちますが、雨や湿気によって濡れてしまうとロフトが潰れ、空気の層を十分に保てなくなるため、保温力が大きく損なわれてしまいます。それに対して化繊インサレーションは、素材の構造と繊維が持つ高い疎水性によってロフトが潰れにくく、濡れた状態でも保温力の低下が少ないという特性があります。

これが化繊ジャケットの最も大きな優位性ですが、従来の化繊インサレーションは構造上、空気の保有量が少なく、ダウンに近い保温力を実現するためには量でカバーする必要がありました。その結果、サイズが大きく、重量もかさむモデルが主流だったのも事実です。

しかし、この「濡れや湿気に強い」という特性は、そこまで高い保温力を必要としない行動時において大きなアドバンテージとなるため、特に寒い環境下での行動着として優れた役割を果たしてきました。


Enlightened Equipment Torrid Jacket 着用イメージ|軽量でダウンのような暖かさを持つ化繊インサレーション
まるでダウンを着ているかのような錯覚に陥るほど、軽量で暖かい。従来の化繊ジャケットに対するイメージを大きく覆す存在と言える。


Climashield Apex がもたらしたインサレーション革命

しかし2010年代中頃、米国の Climashield 社(クライマシールド)が開発した新素材 Climashield Apex の登場によって状況は一変します。

それまでの化繊インサレーションは、ダウンの構造を模倣し、細かな繊維を集めることでロフトを生み出していました。そのため、圧縮されるとロフトが安定しにくいという課題を抱えていたのも事実です。 それに対してApex は、スポンジのように一体化した構造を採用することで、空気を含みやすく、逃がしにくい特性を持っています。そのため、ロフトが押しつぶされても回復が早く、軽量でありながら安定した暖かさを保ちやすいのが特徴です。

この画期的な新素材に着目し、いち早くパフィージャケットに取り入れたメーカーの一つが EE でした。Apexが持つ潜在能力を、キルトを中心としたスリープシステムで培ってきた知見を応用することで最大限に引き出し、わずか2.0oz/yd²というApex最軽量クラスのシートを採用しながら、 高い保温力を実現することに成功しました。

そして化繊インサレーションでありながら、冬のレイヤリングを想定した軽量ダウンとほぼ同じ重量レンジで、同じ温度帯の比較対象になり得る保温力を実現した、ゲームチェンジャーとも言える製品が誕生します。それが Torrid Jacket です。

Torrid Jacketは軽量かつコンパクトでありながら、化繊ならではの高い耐水性と、軽量ダウンと同じ温度帯で比較される実用的な保温力を兼ね備えています。濡れや湿気を避けられない状況でも性能が安定しやすく、気温や天候の変化が激しいロングトレイルの環境にも柔軟に対応できる高い汎用性を持つ一着です。その完成度の高さから、瞬く間にUL志向のハイカーたちの間で支持を集め、キルトと並ぶEEを代表するアイテムとなりました。


Enlightened Equipment Torrid Jacket 収納サイズ比較|Zpacks Small 1.7L スタッフサックと1L ナルゲンボトル
化繊とは思えないコンパクトさも Torrid Jacket の大きな魅力。Zpacks の Small サイズ(約1.7L)のスタッフサックに収納し、1L のナルゲンボトルと並べてもこのサイズ感です。Climashield Apex は従来の化繊と比べて耐久性が向上しているため、圧縮して収納しても劣化しにくいのが特徴です。


Torrid Jacketの特徴


優れた保温性

Torrid Jacketの大きな特徴として、まず挙げられるのがこの高い保温性です。これは単に Climashield Apex を採用したから実現できたものではありません。EEがこれまで開発してきたキルトやスリープシステムで培ってきた「コールドスポットを減らし、空気を逃さず、限られたインサレーション量で最大限の保温性を引き出す」という設計思想を、ウェアに応用した結果です。

そのため、2.0oz/yd²という軽量なApexを使用しながらも、実使用では同重量レンジの軽量ダウンと同じ温度帯で比較されるレベルの保温性を実現しています。


Enlightened Equipment Torrid Jacket フード調整ディテール|ドローコードによる保温性の調節
Enlightened Equipment Torrid Jacket 裾ドローコード調整ディテール|保温性のコントロール
フードと裾に配置されたコードシステム、サイドポケットのジッパーによって、風の侵入を抑えつつ、保温性能を細かく調節できます。ポケットのジッパーは生地を噛みづらいよう工夫されており、徹底した軽量化を追求しながらも、こうした実用的なディテールを省かない点こそが、軽さだけを追い求めない EE らしい設計思想と言えるでしょう。


濡れや湿気への高い耐性

もうひとつの大きな特徴が、湿気や結露といった要因による温度低下に対する高い耐性です。Torrid Jacket は化繊インサレーションを採用しているため、濡れや湿気の影響を受けにくく、保温性能が大きく低下しにくい特性を持っています。

さらに、シェル素材には高い撥水性を備えた DWR 加工が施されており、雨や雪といったコンディションでも安心して使用できる設計です。加えて、EE のキルトや寝袋と同系統の柔らかな素材を使用しているため、就寝時にスリープシステムと併用しやすい点も、このジャケットならではの特徴と言えるでしょう。


Enlightened Equipment Torrid Jacket 軽量シェル生地ディテール|耐風性・撥水性を備えたULファブリック
高い耐水性と耐風性能を備え、ウィンドシェルにも使われる軽量ファブリックを採用。インサレーションの性能を効率よく引き出し、軽量ながら安定した保温性を実現しています。一方で、軽量性を最優先した設計のため、生地の耐久性はアウター想定のウェアと比べると劣りますので、ハードな使用には向いていません。


Torrid Jacketってどんな インサレーションジャケット

軽くて暖かく、天候の変化にも柔軟に対応できるインサレーションジャケット

Torrid Jacket は、軽量な化繊インサレーションでありながら、軽量ダウンと同じ温度帯で比較される実用的な保温力を持ち、なおかつ湿気や濡れに強いという特性を備えた一着です。

停滞時や朝の動き出し、就寝時など、天候を過度に気にせず使える対応力が特徴で、体温が下がりやすい場面でも高い安心感をもたらします。

実用の中心は 3.5 シーズンですが、レイヤリングやシュラフのブーストとして活用するなど、使い方次第では 4 シーズン対応も可能な、非常に完成度の高いインサレーションと言えるでしょう。

Mサイズ(約250g)
胸囲 102–109 / 袖丈 79–84 cm(対応サイズ)
胸囲 117 / 袖丈 87 / 裄丈 96 / 身丈 73.5 cm(製品外寸)
*モデル着用サイズ(170cm 75kg ガッチリ体型)


Lサイズ(約270g)

胸囲 112–119 / 袖丈 81–86 cm(対応サイズ)
胸囲 124 / 袖丈 88 / 裄丈 99 / 身丈 75 cm(製品外寸)


素材
:C0 DWR 加工済み 10D ULナイロン / Climashield APEX
生産国ベトナム製



以上いかがでしたでしょうか。
Torrid Jacket は、Enlightened Equipment を代表するアイテムのひとつです。旅行でも重宝する一着で、UL志向のハイカーはもちろん、ミニマムな旅行がお好きな方にもぜひ体験していただきたいアイテムです。



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