Enlightened Equipment Revelation Quilt Burnt Orange 女性がブランケットとして使用しているイメージ

Enlightened Equipment Revelation|なぜ UL ハイカーに好まれるのか?

近年ウルトラライトというジャンルは、もはやニッチなものではなく、自身の装備を少しでも軽くして快適な山行を楽しむための手段として取り入れる方が目立つようになってきました。バックパックの中でテントと同様に大きなスペースを奪うことの多いシュラフについても、海外のロングディスタンスハイカー達の影響もあり、軽量化の1つの手段としてキルト型のシュラフに移行する方が増えてきたと感じています。従来の寝袋との比較でも、同じ保温力を確保しながら重量を抑えられる点が「軽量シュラフ」として評価されています。

今回は、そんなシュラフのキルト化を検討されている方に向けて「なぜキルト型なのか?」「なぜ EE の製品が広く支持されているのか?」当店で取り扱いのある Revelation レビューとして製品の魅力について紹介していきます。


そもそもキルトって何?


寝袋は普通、筒状になっていて背中側にもダウンが詰まっています。でも実際に寝るとき、背中側のダウンは潰れてしまい、ほとんど暖かくありません。

「暖かくないなら無くしてしまおう」――そうして生まれたのがキルトです。背中側は生地がなく空いているので、着脱のためのファスナーも不要になり、その分軽量化につながります。つまり、シュラフの余分な部分を省いたのがキルトなんです。こうした構造により、一般的なスリーピングバッグよりも軽く、パッキングサイズも小さくできるのが特徴です。

昔は「エアマットは暖かくない」とされていましたが、このキルトも一部の軽量マニアのためのアイテムでした。しかし現在では高性能なエアマットが開発され、それと組み合わせることによる快適さがハイカーたちの心をつかみ始め、さらに比較的手の届きやすい価格で手に入るようになってきたため、市民権を得てきたというわけです。

キルトはエアマット専用というわけではありませんが、エアマットと組み合わせることで背中からの冷気が入りづらくなり、同じ重量比率の一般的なシュラフに比べて暖かい恩恵を受けられます。その結果、キルト+エアマット が軽量化を進める上での大きな選択肢のひとつになったわけです。

もちろん、軽量化にはリスクとトレードオフがあるため、背中から冷気が入り込み体を冷やしてしまう可能性もあります。ギアの運用には余分な神経を使うこともご承知ください。


Enlightened Equipment Revelation Quilt Burnt Orange 背中面 全体画像

背中部分は寝るとロフトが潰れてしまうので生地を無くし、フード部分は行動着や単体のフードで補うのが一般的な形。


なぜ UL ハイカーに好まれるのか?


数あるキルトの中で EE の Revelation が UL ハイカー達に選ばれるのはなぜでしょうか?
結論から言うと「万能型キルト」であることなんです。日常生活においても言えることですが、歩き疲れた体で状況に応じてあれこれ考えてそのときの最適解を探るよりも、いかにシステムをシンプルにするか?という考え方の方が長距離ハイカーたちに合っていたのだと思います。


Enlightened Equipment Revelation Quilt Burnt Orange フットボックス ジッパー詳細

Revelationの構造で最も代表的フット部分のジッパー構造。これを開放することで一枚のブランケットのような形状になる。

 

汎用性の高さ

UL はロングディスタンスハイクから生まれた文化ですが、たとえば CDT(コンチネンタル・ディバイド・トレイル)はメキシコ国境からカナダ国境まで約 5,000km。スルーハイクには通常 6 ヶ月程度かかります。

この期間には標高差も大きく、30 度を超える日もあれば氷点下になることもあります。そういった環境下では 1 枚のキルトでどれだけ温度コントロールが出来るかが非常に重要になり、長い旅路の快適さが格段に変わってきます。

少し暑いと思う時にはフット部分のコードを広げて足元を換気し、暑い日にはジッパーを全開にして掛け布団に。キャンプ地での行動中に寒いと感じる時にはブランケットとして羽織ることができるなど、様々なシチュエーションで温度調節をしてくれます。

頭の部分が寒いのでは?と思うかもしれませんが、各社から防寒着としても役立つ単体のフードも出ています。


Enlightened Equipment Revelation Quilt Burnt Orange フットボックス コードを締めた状態

フットボックスはドローコードをキツく絞めることで冷気を防ぎ、暑い時には少し開けるなど温度調整が簡単。


総合力の高さ

Revelation の魅力のひとつに「軽くてコンパクト」という特徴があります。ただし、数あるキルト型シュラフの中で一番軽くてコンパクトなわけではありません。

たとえば Zpacks の Solo Quilt は同じ 30°F 対応サイズで比較すると 100g 以上軽量です。しかしフットボックスが固定式のためブランケットのようには使えず、軽さを追求する代償として耐久性もやや犠牲にされています。

また耐水性についても同様に他社製品の方が圧倒的に優れているものもあります。もちろんメーカーによって基準が違ったりと一概に比較はできませんが、結局のところ「何を重視するか?」によって必要な機能が変わってくるのです。

そういった意味において Revelation は実際に直面する環境下において必要最低限以上、もしくは十分な性能を備えた「総合力の高さ」が、多くの長距離ハイカーたちに求められてきたのだと思います。


Enlightened Equipment Revelation Quilt Burnt Orange エアマットにパッドストラップで取り付けた状態

マットに付属のストラップを取りつけてキルトと固定することで、寝返りをうってもキルトがずれにくくなり冷気が侵入するのを防いでくれます

Enlightened Equipment Revelation Quilt Burnt Orange 2本のパッドストラップ 取り付け位置の詳細

キルト上部も固定できるが、上部用のストラップはループ上にはなっておらず、体にかけたり、エアマットを巻き込んだり、もしくは使用しないなどお好みに応じて。


Revelationの主な特徴


フットボックス

Revelation で一番特徴的なのがこのフットボックスです。ジッパーでフットボックスがフルオープンになるためブランケットのように使えます。
また、ジッパーの開閉をしなくても裾部に付いたドローコードで調節し、足を出したりなど気軽に温度調整が可能です。


U型バッフル

Revelation のもうひとつの大きな特徴が縦型のバッフル形状にあると私は思っています。
U型とは要は縦型と横型のバッフルを組み合わせたハイブリッド型とほぼ同じ性能を持ちます。体部分は縦型を採用し、寝返りによるダウンの偏りを抑えて体幹部から足元までの熱の流れが伝わりやすくなります。

一方で足元は横型にすることでフットボックスが立体的な形になりやすくなります。もちろん完全なハイブリッド型ではないので、それぞれの性能が若干劣ってくるとは思いますが、U型にする事で使用する糸の量が減り、さらに工程も減るので結果「コストと重量の軽量化」に結びついてきます。
ここでも「何を重視するのか?」という Revelation の開発思想が垣間見えます。


Enlightened Equipment Revelation Quilt Burnt Orange 広げてブランケットにした状態

縦型と横型を組み合わせたハイブリッド構造のバッフルを「低コストかつ軽量」で実現させたEE独自のU型のバッフル構造。


DWR加工(耐久撥水)

Revelation には一般的に裏地などに使われることの多いタフタ織のナイロンに DWR 加工が施されています。この DWR 加工は糸に対して施されているため、生地本来の持つ透湿性・通気性についてはある程度維持されつつ水を弾きます。

この撥水性能は海外のレビューでの評価は高いようですが、他社の製品に比べて特別に高い性能か?といわれればそうではありません。

例えば Katabatic Flex は生地に PERTEX QUANTUM を使用し、撥水処理を施したダックダウンを使用しています。そのため雨や湿気などによるダウンの濡れに高い耐性を誇ります。

ただしこのスペックが必要な環境はかなり限定的で(相当の多湿の環境)。公式にも記載されていますが完全防水ではなく “濡れるリスク” もあるので、そういった環境に行く際にはさらなる湿気対策が必要になり重量が増してくるケースもあります。

そうなってくると結局は化繊のシュラフがコスト的にも有利となってきます。EE のラインナップを見ると、しっかり APEX(化繊)のモデルがあり、ここにも Revelation が万能型を目指すための割り切り方、開発思想が見受けられます。

(化繊のシュラフは濡れてもロフトが低下しないのでダウンに比べて暖かさが低下しにくいが、その分重量が増え嵩張る)

もちろん Katabatic Flex もしっかりとスルーハイカーたちに評価されているギアなので、結局のところ何を重視するかによってその人の最良は変わってきます。


Enlightened Equipment Revelation Quilt Burnt Orange 生地表面の撥水状態 水滴が弾かれている様子

DWR加工にはPFCフリー(有害なフッ素化合物を含まない)のC0 DWRが採用されていて環境への配慮という部分も含めて ”万能型”。


重量・収納サイズ

30°F(-1°C)対応でレギュラーサイズを選んだ場合の重量が約 538g、付属の収納袋に入れたときのパックサイズが(約 17×30cm/実測値)になります。

軽量だけを求めるのであれば同社でもっと軽いジッパーレスの Enigma というモデルがありますし、ここまで読んだ方であればこの Revelation のサイズと重量が十分に魅力的なものであるとはご理解いただけるはずです。
ちなみによく比較される先述の Katabatic Flex 30 が同等のパックサイズで約 600g となっています。


Enlightened Equipment Revelation Quilt パッキング状態 スタッフサックと1Lナルゲンボトルのサイズ比較

付属の持ち運び用のスタッフサックはややキツめの印象。コンプレッションすればもう少し小さくなる。


以上いかがでしたでしょうか?今回の Enlightened Equipment Revelation レビュー が、購入を検討している方の参考になればうれしいです。

TARCIT では店舗前のフィールドで実際にシュラフをお試しいただけます。さらに Enlightened Equipment の正規販売店のみで受けられる不良品に対する 3 年間の保証(転売品は不可)や、正規の保守パーツのご用意や修理のご相談など、アフターサービスも万全に整えておりますのでお気軽にご相談ください。

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