Zpacksのトレッキングポールという選択肢|ULハイカーに支持される理由と注意点
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Zpacks(Zパックス)といえば、ダイニーマ製の超軽量で革新的なテントやバックパックなどが有名ですが、実はカーボン製のトレッキングポールも隠れた人気アイテムとして知られています。「実際どうなの?」と思って海外のレビュー記事やフォーラムを見てみると、評価は真っ二つ。結局何を参考にすれば良いかわからないという方も少なくないのではないでしょうか。スルーハイカー向けのメディアで賞を受賞するなど高い評価がある一方で、ネガティブな意見も見られます。
今回は、そんなZpacksのトレッキングポールがどんな製品なのか、海外レビューを交えながらお伝えしていきます。購入を検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。
Zpacksのトレッキングポールが人気の理由
カーボン製のトレッキングポールとしては安価
これが最も大きな理由だと思います。USのウェブメディアやフォーラムなどを見ても、この点が最も多く挙げられています。ZpacksのトレッキングポールはUSでは1本60ドルで販売されており、カーボンファイバー製としては非常に手頃な価格帯なんです。
比較的コンパクトで軽量
他社のカーボン製ポールと比べると、さらに軽量・コンパクトなモデルも存在しますが、価格とのバランスを考えれば十分にコストパフォーマンスの高い製品です。また2024年からロックシステムがツイストロック式からクランプ式に変更され、調整のしやすさや安定性が向上しています。

カーボンファイバー・トレッキングポール(上)はカーボンの繊維が見える光沢仕上げを採用し、ミニマリスト・トレッキングポール(中)はゴッサマーのLT5のようなマットの塗装が施されている。
Zpacksというプレミアムブランド
次に挙げられる理由は、「Zpacks」というブランドそのものの信頼性と所有感です。
ZpacksはテントやバックパックなどでUSでも高価格帯のプレミアブランドとして認知されており、そんなブランドのトレッキングポールが60ドルで手に入るという点が、多くのハイカーの関心を引いています。
1本から購入できる
Zpacksのポールは1本単位で購入可能です。ファスト&ライトスタイルのハイカーにとっては柔軟な選択ができ、また2本使用時に片方が破損した際も、気軽に買い足せるという点がユーザーフレンドリーです。

Gossamer Gear LT5 に比べて収納時のサイズは多少大きいがほぼ変わらない。
注意すべき点
上記の内容だけを見ると「良い製品なんじゃないか」と思うかもしれませんが、導入にあたっては注意すべきポイントがあります。
過度な信頼は避けるべき
Zpacksの製品は軽量でロングトレイルにも耐えうる堅牢性を兼ね備えている、というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、このトレッキングポールに関してはそのイメージがそのまま当てはまるわけではありません。なぜかというと、カーボンシャフトは素材の特性上どうしても折れやすいからです。また、価格が安価である分、使用されている素材やパーツもそれに見合ったグレードであることを理解しておく必要があります。
実際、海外レビューでも「折れた」「破損した」といった評価が一定数見られますが、これは安い価格ゆえにULエントリー層のハイカーにも広く使われていること、そしてカーボンポールが限定的な使い方を必要とするギアであることを理解せず使用している人が多いことも要因のひとつだと思います。したがって、導入にあたっては「Zpacksだから安心」といった過度な信頼は避けるべきです。
もちろん、耐久性を少しでも重視するならGossamer GearやDurstonなどのハイエンドモデルという選択肢もありますが、耐久性に関する評価が比較的高いというだけで、実験などに基づいた客観的事実があるわけではありません。
結局のところ、何を優先し、何を妥協するのか――ギア選びにおけるその判断こそが大切です。

2024年から採用されたクランプ式ロック。これまでのツイスト式に比べて重量は増すが、強い押し込みによって短くなったりなどのアクシデントが少なく、長さ調節もスムーズ。
横方向の負荷に注意
カーボンファイバーシャフトは縦方向(荷重・押し圧)には強い一方で、横方向(ねじれ・側圧・曲げ)には極端に弱い性質があります。そのため、アルミ製ポールのようにラフな扱いはできません。たとえば、、、
・岩場やガレ場での使用を控える
・ポールを支えに体をねじるような動きを避ける
・強風時のテント支柱としての使用を控える
・下り坂では体重を預けすぎないようにする
など、使い方に注意する必要があります。また、破損は予兆なく起きることもあるため、ポールに体重を大きく預けるような使い方は避けるべきです。

従来のツイストロック式は軽量化には適したシステムだが、押し込みによって長さが短くなったりなどのリスクは高い。
装備の軽量化が前提
トレッキングポールの導入は、ある程度装備全体の軽量化が進んでからがおすすめです。
荷物が重いほどポールにかかる負荷が増し、横方向の力が加わりやすくなり、破損リスクが高まります。
軽量装備との組み合わせでこそ、カーボンポールのメリットが最大限に発揮されます。
3シーズンの使用に留める
カーボンシャフトは低温下(目安:−10℃以下)になると横方向の強度がさらに低下します。雪中では特に横圧がかかりやすいため、カーボンポールは3シーズンでの使用に留めるのが安全です。
Zpacks Minimalist Trekking Pole と Carbon Fiber Trekking Poleの違い
Zpacksには2種類のカーボン製トレッキングポールがラインナップされています。ここでは、それぞれの特徴を簡単に解説します。

Minimalist Trekking Pole
重量:166g(1本)
サイズ:132 / 63.5cm(最大 / 収納時)
よりUL志向のハイカー向けのモデル。Gossamer Gear LT5(139g)など、さらに軽いモデルもありますが、軽さにもこだわりたいけど、低コストに抑えたいという方におすすめのモデルです。2024年モデルからはツイストロック式からクランプ式に変更され、可変のしやすさと安定性が向上しました。(参考:LT5はスクリュー式を採用)
👉 「Zpacks Minimalist Trekking Pole」商品ページへ

Carbon Fiber Trekking Pole
重量:217g(1本)
サイズ:142 / 62.5cm(最大 / 収納時)
👉 「Zpacks Carbon Fiber Trekking Pole」商品ページへ
以上いかがでしたでしょうか。
輸入品となるため日本での販売価格はどうしても高くなってしまいますが、TARCITではZpacksのトレッキングポールの魅力を日本でも感じていただけるよう、できる限りお求めやすい価格設定としています。
ご質問などありましたら、お気軽にお問い合わせください。