MLD Midシリーズが名品と呼ばれ続ける理由|唯一無二のULシェルター
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1ポールのピラミッド型シェルターというと、アウトドア用途だけでなく、住居としても古くから使われてきた伝統的なテントのひとつです。
文字どおり1本の支柱で建てることができるため、支柱の代わりとなるトレッキングポールを持ち歩くハイキングとの相性も良く、現在ではUL文化を象徴するシェルターのひとつともいえます。
今では日本国内を含め、世界中のメーカーからさまざまな1ポールのピラミッド型シェルターがリリースされていますが、ULの本場でもあるアメリカで、発売から20年以上を経た現在もなお高い評価を受け続けているのが、Mountain Laurel Designs(MLD)のMidシリーズです。
MLDは、ULムーブメントの黎明期に産声をあげたガレージメーカー。創業から20年以上が経った現在もガレージメーカーとしてのスタンスを守りながら、ULシーンの第一線であり続ける数少ないブランドのひとつです。
一方で、リテーラーは非常に少なく、これまでほぼ本国のECサイトから購入するしかなかったこともあり、日本ではブランドそのものやMidシリーズに込められた哲学、製品の特徴について詳しく語られる機会は、まだそれほど多くないように感じます。
今回は、そんなMLDのMidシリーズについて、ファウンダーであるRon氏とのやり取りの中で分かった内容も踏まえながら、当店で取り扱う1〜2人用シェルター「SoloMid XL」と「DuoMid」を紹介し、その特徴や長年にわたって支持され続ける理由について解説していきます。
MLDのシェルターを検討されている方はもちろん、ULテントを探している方にも参考になる内容だと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
MLDのブランド哲学
Midシリーズの魅力を知る上で欠かせないのが、MLDのブランド哲学です。
MLDは、ULの中でもさらに極端な軽量化を意味するSUL(Super Ultra Light)を、2000年代前半の創業間もない頃から提唱してきたメーカーです。100gを切るようなバックパックや、FKT(特定の区間をどれだけ速く走破できるかを追求するスタイル)に特化した挑戦的なギアなど、当時としてはかなり尖った製品も生み出してきました。
しかし、MLDにとって「軽さ」は目的そのものではありません。余計な装備を減らし、身体を軽くすることで、より遠くへ進み、想像の範囲を超えた体験へ踏み込んでいく。そのための手段として「軽さ」があります。より早く目的地に到達したい方もいれば、より長い距離を歩きたい方や、少しでも自然との一体感を味わいたい方など、理由は人それぞれでしょう。
ただどれも一貫しているのが「冒険心」。
重い装備や過剰な道具に頼る代わりに、自分自身の知識や技術、判断力を高め、周囲の地形や自然環境を活かすことを学んでいく。冒険心に満ちたユーザーたちが自然の中でより深い体験を得るための助けとなるギアであり続けること。それこそが、MLDの根底にある思想です。
そして、自然の中でより深い体験を得るために、MLDが製品開発で大切にしているのが、
「1つのギアに複数の役割を持たせること」
「環境の変化にも対応できる堅牢さ」
そのうえで、製品としての軽さとのバランスを保つこと。そこにMLDらしいものづくりが表れていると言えるでしょう。

Midシリーズの特徴
MidシリーズがUL志向のハイカーに選ばれる大きな理由は、その万能さでしょう。
素材やサイズ、使い方次第ではSULとしても使える軽さを持ちながら、環境や状況に応じて使い分けられる汎用性の高さ。そして何より、「耐候性」と「耐久性」に優れているという点が大きな特徴です。
20年以上が経った現在でも、いまだに多くの冒険家を魅了し続けているのは、本来の完成度の高さだけでなく、繰り返しアップデートを重ね、常に進化し続けているからにほかなりません。
今年(2026年)の5月には、USの長距離ハイキング向けWebメディア「The Trek」にて、著名な冒険家であり長距離ハイキング界で大きな影響力を持つアンドリュー氏が、Midを「あらゆる環境に対応できる汎用性の高いシェルター」として紹介しています。
長年にわたりさまざまな環境でバックパッキングを続け、数多くのシェルターを使用してきた彼が現在でもMidを高く評価していることからも、その完成度の高さがうかがえます。
「OFTEN COPIED, NEVER SURPASSED.」
Midはあまりにも完成度の高いシェルターだったため、これまで多くのメーカーからMidを参考にしたシェルターがリリースされてきました。
これは公式サイトで掲げられているコピーで、長年にわたって積み重ねてきた実績とユーザーからの信頼を背景に、今なお最高峰のシェルターとして評価され続けているという、MLDの自負を表した言葉なのでしょう。
今では珍しくないワンポールのピラミッド型ULシェルターだが、Midシリーズの立ち姿は別格とも言える。この佇まいを見るだけでも、名品と呼ばれてきたことに納得してしまう。
優れた耐候性
最も大きな特徴の一つが、ロングトレイルにおける様々な環境の変化に順応する優れた耐候性でしょう。
大きな垂直面を持たないワンポール式のピラミッド型のため、強風にも強く、さらに生地が激しく振動したり、バタついたり、大きな風切り音を発生させにくいのが特徴です
また積雪にも強く、1人用のMid XLでも中程度、最大4人で使えるSuperMidにいたってはシアトルからアラスカ最北部までの約6,400kmを超える記録的な旅にも使用され約180kgの積雪にも耐えたという実績が残っています。

使い勝手の良い居住スペース
そして、もう一つの大きな特徴が、その居住性の高さです。
SoloMid XLでも一般的な2人用テントに匹敵するフロアスペースがあり、その広さを活かせばギアの置き場にも困りません。レースなどでさらに装備を切り詰めたい場合には、工夫次第で2人で使用することもできます。
一見すると、自立式テントに比べて広い設営スペースが必要と思われがちですが、張り綱に必要なスペースまで考慮すると、実際にはそこまで大きな差はありません。
さらに特徴的なのが、ポールの位置が中心ではなく、入り口側にずれたオフセット構造です。
1人で使用する場合は特に秀逸で、少しポールをずらすだけで前室を30%程度確保しながら、自身の寝床をテントの中心に配置できます。そのため、ピーク付近で身動きがしやすく、雨の跳ね返りによる濡れも軽減できます。
インナーネットを取り付ける場合でも、ポールを中に入れず外に逃して使うことができる点も、大きなメリットです。


状況に応じて使い分けられるモジュール性
これはフロアレスシェルター全般に言えることですが、広い居住スペースを状況に応じて使い分けることのできる高いモジュール性も大きな特徴です。
例えば虫が多い場合にはインナーメッシュテントをインストールしたり、暑い場合にはテントを持ち上げて地面の間の隙間を広くしたりもできます。ビヴィと併用することで、雨などによる濡れへの耐性を高め、より自由度の高いシステムにすることもできます。
とりわけMidは、地面に近づけて低く張る設営がしやすく、ピーク部分の調整しやすいベントによって室内の換気状況もコントロールしやすいため、よりモジュール性に優れたシェルターと言ってもよいでしょう。
ピークの高さを140cm以上にすることで、ボトムと地面の間に隙間が生まれる。簡単に調整でき、ペグダウンの位置も変えずとも、綺麗な佇まいはそのまま。
内部には頂点に1つ、各辺に1つずつギアハンギングループを装備。インナーネットの取り付けだけでなく、ビヴィのフードやライトを吊るしたり、物干しコードを張ったりできる。
高い設営性
メインとなるコーナーのシームにはカテナリーカットが採用されているため、綺麗な長方形を意識して(SuperMidは正方形)コーナーに近い位置をペグダウンし、ポールを立てるだけで、形を整えやすいのが特徴です。
基本は4箇所のペグダウンとポールを立てるだけなので、1分程度で十分綺麗に張ることができます。激しい雨のときには、張る場所を決めたら先に幕を被ってから設営することで、濡れを軽減できます。
筆者の場合は、まず短辺の2箇所をペグダウンし、続いて長辺の1箇所を固定。そこからポールを立て、最後の1箇所だけ外に出てペグダウンします。
この方法でもかなり綺麗に設営でき、さらにピークのベントから外を見ることができるため、幕の中から周囲や設営位置を確認しながら作業できます。

コーナー4箇所を、縫い目の延長線上にペグダウンするだけでほぼ設営完了。ペグはできるだけコーナーに近い位置に打つことで、誰でも簡単に綺麗な形に仕上がる。
磨き上げられたビルドクオリティ
ファウンダーであるRon氏自身の旅での体験や、ユーザーの声を製品に取り入れながら、常に進化を続けてきたMidシリーズ。
ただ軽いだけでなく、使いやすさや耐久性にも配慮し、20年以上にわたって細かなアップデートを重ねてきたことが、唯一無二のULシェルターと呼ばれる所以でしょう。
立体的なパターン
いかに簡単にテントを綺麗に張れるかは、設営の早さにも関わる大切な要素です。
タープなどにも見られるカテナリーカットをはじめ、MLD独自の立体的なパターンを採用することで、ワンポールの強みである「設営の早さ」に加えて、「綺麗に張りやすい」という特徴も備えています。

耐久性に優れた素材と縫製
素材には、耐久性に優れたDCFと高耐久SilPolyester(シルポリ)の2種類を採用しています。
DCFは言わずもがなですが、シルポリも耐久性に加えて伸びにくい素材なので、雨や湿気などで濡れても生地が伸びにくく、シルナイロンなどに比べてガイロープを締め直したりする動作を減らし、安全性を高められるのが特徴です。
縫製が必要なシルポリバージョンではダブルステッチを施し、耐久性を高めている。
細部まで抜かりのない設計
そしてMidシリーズの完成度の高さをわかりやすく表しているのが、ウルトラライトとしての軽さは保ちつつも、実際の使用シーンでの使い勝手まで考え抜かれたディテールでしょう。
ジッパーへの負荷を減らし、操作性を高めるボトムバックル
フロントジッパーには止水ジッパーを採用し、防水性を高めるとともに、下部をバックルで留められるようになっています。
これはジッパー本体や生地への負荷を減らすために取り付けられています。もちろんバックルを閉めたままドアの開閉ができますが、入り口を全開にした場合でも、まずバックルを留めることでジッパーを安定して上げやすくなり、生地を噛むリスクも減らせます。

状況に応じて換気量を調整できる可変式ピークベント
頂点に備えられた大型のベントにはワイヤーが入っているため、開き具合を簡単に調整でき、換気量をコントロールすることができます。雨や雪のときにはしっかりと閉じることで、吹き込みを防ぐことも可能です。

より汎用性を高めるバグネットスカート
TARCITでは通常のモデルに加えてシェルターのボトムに幅40cm程度のバグネットを取り付け地面に垂らすことのできるカスタム仕様もお選びいただけます。
虫への耐性を高めつつも、フロアを広く使え、シェルターのボトムを浮かせても換気をしながら、さらに雨や雪の吹き込みをかなり軽減できます。ピークベントを閉じることで、さらに虫が入りづらくなります。
通常のインナーネットをインストールする場合は310g程度の追加となりSoloMidで総重量が760gほどとなりますが、この仕様だと100g程度の重量増で済み、Midシェルターの汎用性をより高める仕様と言えるでしょう。

SoloMid XL
Midシリーズの原点であるSoloMidの系譜を受け継ぎつつ、大柄な人でも十分な居住スペースを備えた、Midシリーズの基本となるモデルです。
SilPoly素材を選んでも450g程度と軽量で、選ぶ素材やそのほかの装備との組み合わせ次第ではSULを実践しながら、四方をウォールで囲まれた高いプロテクション性能も得られるのが特徴です。

1人では広々、攻める時は2人でも使える
フロアスペースは一般的な2人用テントと同等かそれ以上の広さがあり、ピーク部分は標準で140cmの高さがあるので、天井を気にせずにゆったりと過ごせます。
通常は1人で使用することをおすすめしますが、レースなど攻めた装備にする時には、2人でもギリギリ使用することができるサイズ感です。
サイズ:W142 × D280 × H140 cm
重量(SilPoly):453g / 553g(バグネットスカート付き)
対応人数:1人+gear
DuoMid
シェルター単体ではワイドサイズのエアマットを並べる余裕のある2人用のオリジナルモデルです。
SoloMidと比べて奥行きが30cmほど広くなっていますが、重量は50gほどの増加なので、2人で使用した際にはSilPoly素材を選んでも250g程度(1人あたり)に抑えることができるのが特徴です。

1人で贅沢に、仲の良い友人やカップル2人で
1人用のインナーテントを入れ、前室スペースを設けても820g程度とULシェルターとして十分運用可能な重量で贅沢につかえます。
1人でも使える汎用性を備えているので、普段は1人で使うけど、たまに友人やカップルで使う時もあるという方におすすめのサイズ感です。
DuoMid専用の2人用インナーテントを男性2人で使用する場合は、頭と足を互い違いにして寝るとスペースを広く使えます。
サイズ:W172 × D280 × H140 cm
重量(SilPoly):510g / 610g(バグネットスカート付き)
対応人数:2人+gear
最初に使用する前の準備
Midシリーズは使用する前にいくつか事前準備が必要ですが、軽さを気にする方であれば、ご自身の手でギアをカスタムする機会も多いはずです。また、長くギアを使うためには定期的なメンテナンスも欠かせません。
「ギアに愛着を持つ」という意味でも、最初にお使いいただく前には、ぜひ一度ご自身で手をかけてもらえると嬉しいです。
ガイライン
付属のガイラインコードを46cmの長さに4本カットし、底面4箇所のコーナーのペグダウン用として準備してください。その他の箇所は、実際に設営しながら必要な長さを決めてください。
シームシーリング(SilPoly素材)
高い防水性を確保するため、ご使用前に付属のシーラーでシェルター外側の縫い目に防水処理(シームシーリング)を行う必要があります。
テントを張った状態で、付属のシーラーを原液のまま、ハケやヘラなどを使って縫い目部分や縫い目が折り返しになっている部分に塗布してください。一度に大量に塗り広げるよりも、少量ずつ複数回に分けて塗布する方が適しています。
以上、いかがでしたでしょうか。
MidシリーズがULシェルター史にも残る名品であることは、こちらの記事を通してご理解いただけたのではないでしょうか。
MLDは、ファウンダーであるRon氏自身が生産現場に携わる真のガレージメーカーとして、大手ULメーカーの中でもおそらく唯一無二とも言える、非常に貴重な存在だと思います。
Ron氏自身が現在67歳ということもあり、彼が現場に携わる期間も限られているとは思いますが、携わり続ける限りはTARCITでも紹介し続けていきたいと思っています。
機会があれば、皆さんもぜひMLD、そしてULギアの名品に触れてみてはいかがでしょうか。

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